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MacのSSDが暗号化されていて読めない|FileVaultと、取り出せない設計の話

まずこれだけ起動できるうちに、外付けドライブへデータをコピーする

30秒で分かる結論

  • FileVaultで暗号化されていると、パスワードか復旧キーがなければ読み出せません
  • 近年のMacはストレージが基板に直付け・一体化しており、取り外して読む前提が成り立ちません
  • 起動できるうちにデータを退避することが、実質的に唯一の確実な手段です
⚠️今すぐ避けるべき操作
  • ディスクユーティリティの「消去」や「復元」を、意味を確認せずに実行しない
  • FileVaultの復旧キーを、そのMacの中だけに保存しない
  • 起動しなくなってから、取り出して読めばいいと考えない
  • 異音や異常発熱がある状態で、起動を繰り返さない

症状の危険度判定

低:接続や設定が原因かも中:認識が不安定高:異音・落下・水没など
危険度:

異音・落下・水没・焦げ臭・複数台の同時故障などが見られます。通電・再起動・分解は避け、専門業者への相談を強くおすすめします。


Windowsと同じようにはいかない


Windowsのパソコンが起動しなくなったとき、ドライブを取り出して別のPCから読むという手が使えます(PCが起動しない時、内蔵HDDだけ取り出して読み出す方法)。


Macでは、この前提が成り立たない場合があります。 理由は2つあります。


理由1:FileVaultによる暗号化


FileVaultは、macOSのディスク暗号化機能です。有効になっていると、ストレージの内容は暗号化されて保存されます。


これは盗難時に情報を守るための機能であり、正しく働いています。しかし裏返せば、パスワードまたは復旧キーがなければ、持ち主でも中身を読み出せないということです。


ストレージを物理的に取り出せたとしても、暗号化されていれば読めません。 WindowsのBitLockerと同じ構造です(BitLockerの回復キーを求められた・紛失した)。


復旧キーの所在を確認しておいてください。 FileVaultを有効化する際、復旧キーを控えるか、Apple ID(iCloud)に預けるかを選ぶ画面があります。どちらを選んだか思い出せない場合、実際に必要になったときに詰みます。


復旧キーを、そのMacの中のメモアプリだけに保存しないでください。 そのMacが起動しなくなれば読めません。紙に印刷する、別の端末のパスワード管理ツールに入れる、といった形にしてください。


理由2:ストレージが取り外せない


こちらのほうが根本的です。


近年のMacは、ストレージが基板に直付けされている、あるいはチップと一体化した設計になっています。 ネジを外してドライブを引き抜く、という構造ではありません。


つまり、「起動しなくなったら取り出して読む」という手段自体が存在しない機種があります。


自分のMacがどの世代・どの構造かは、モデル名と製造年から確認できます。 「Appleメニュー →このMacについて」でモデルを確認し、そのモデルの仕様を調べてください。


結論として、Macでは「起動できるうちにデータを退避する」ことが、実質的に唯一の確実な手段になります。


起動できるうちにやること


外付けドライブへのコピーが最も単純です。Time Machineでも、手動コピーでも構いません。


Time Machineの注意点:バックアップ用のドライブを常時接続していると、ランサムウェアや電源トラブルで一緒にやられます(バックアップは「取っているつもり」が一番危ない)。バックアップを取り終えたら外す運用にしてください。Time Machineのドライブが認識されない場合はTime Machine用HDDを認識しない場合を参照してください。


クラウドとの同期は、バックアップの代わりになりません。 削除も破損もそのまま同期されます(クラウドからファイルが消えた)。


起動が不安定になってきた段階が、最後のチャンスです。 「たまに固まるけど動いている」という状態で退避してください。完全に起動しなくなってからでは、選択肢が大きく減ります。


起動しなくなった場合


まずディスクユーティリティで何かを実行する前に、止まってください。


macOSの復旧環境(リカバリ)からディスクユーティリティを開けますが、「消去」はデータを失う操作です。「First Aid」は検査と修復ですが、書き込みを伴うため、物理障害があるドライブでは状態を悪化させることがあります。


判断基準はMacのディスクユーティリティを実行する前の判断基準にまとめています。


別のMacと接続してデータを取り出す方法(ターゲットディスクモード、共有モードなど)が使える機種もありますが、FileVaultが有効ならパスワードまたは復旧キーが必要です。


異音がする、異常に発熱する、電源が入らないといった場合は、通電を止めて業者に相談してください。


業者に依頼する場合


Macのデータ復旧は、PCより制約が大きい領域です。依頼時に伝えてください。


  • モデル名と製造年(ストレージの構造が世代で違います)
  • FileVaultが有効かどうか、復旧キーが手元にあるか
  • 症状(電源が入らない/起動途中で止まる/画面は出るが進まない)
  • 水濡れや落下があったか
  • これまでに試した操作

「暗号化されていて復旧キーもない」場合、できることは大きく限られます。 業者に依頼する前に、まず復旧キーを探し切ってください。Apple IDに預けている可能性、印刷して保管している可能性を確認します。


伝え方の整理は復旧業者に伝えるべきことを参照してください。


よくある質問


# Q. FileVaultを切っておいたほうが復旧しやすいですか?


復旧の観点だけならそのとおりですが、盗難・紛失時のリスクが上がります。 暗号化を切るのではなく、復旧キーを確実に別の場所へ保管するという対処を勧めます。


# Q. Apple IDのパスワードでロックを解除できますか?


設定によります。FileVaultの復旧キーをiCloudに預けている場合は、Apple IDが鍵になります。 Apple IDにアクセスできるかどうかが分かれ目です。


# Q. 修理に出せばデータは戻りますか?


メーカー修理は本体交換や初期化が前提になることが一般的で、データは戻らないと考えてください。 データが目的なら、修理に出す前にその旨を確認してください。


# Q. 外付けのSSDに入れていたデータなら取り出せますか?


外付けであれば取り外せるので、状況は改善します。ただし外付けドライブを暗号化していた場合は、同じくパスワードが必要です。 ケース側の問題である可能性も確認してください(外付けケース・ドッキングステーションの選び方MacでHDDが認識されない)。


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この記事について

トシぼう

ITインフラの運用・監視を本業とするエンジニアです。サーバーやストレージの障害対応を日常的に扱っています。 記事は機器メーカーやOSの公式サポート情報など、確認できる一次情報にもとづいて作成しています。 内容に誤りや古い情報を見つけた場合は、お問い合わせページからご連絡ください。確認の上、修正いたします。