故障ではなく、同期の結果であることが多い
「クラウドに入れていたファイルが消えた」という状況は、ストレージの故障とは原因がまったく異なります。
OneDrive、Googleドライブ、iCloud、Dropbox——これらは基本的に同期の仕組みです。手元の端末で削除すれば、クラウド側でも削除されます。 逆も同じです。
つまり、次のような経緯で「消えた」ように見えます。
- 別の端末で整理したときに削除した
- 同期フォルダの中身を「ローカルのコピーだから」と思って消した
- 容量不足の警告に従って、削除を選んでしまった
- 共有フォルダで、他の人が削除した
- 端末の初期化・機種変更のときに、同期の設定が意図と違っていた
ドライブは壊れていません。だから復旧ソフトの出番でもありません。 やるべきことは、サービス側に残っている履歴を探すことです。
確認する順番
1. ゴミ箱(削除済みアイテム)を見る。
主要なサービスには、削除したファイルを一定期間保管する領域があります。期間内であれば、ここから元に戻せます。
2. 過去のバージョンを見る。
ファイルが「消えた」のではなく「中身が空になった」「上書きされた」場合、バージョン履歴から以前の状態に戻せることがあります。 削除ではなく破損・上書きが疑われるなら、こちらを確認してください。
3. 検索する。
フォルダ構造の中で迷子になっているだけ、というケースも実際にあります。削除ではなく移動されていたという可能性を、先に潰してください。
4. 共有元・共有先を確認する。
共有フォルダの場合、所有者が削除するとアクセスできなくなります。自分のゴミ箱ではなく、所有者側のゴミ箱を探す必要があります。
保持期間には限りがある
ここが最も重要です。ゴミ箱は永久ではありません。
保持期間はサービスによって異なり、アカウントの種類(個人/法人)や設定によっても変わります。 一定期間を過ぎると自動的に完全削除され、その後は元に戻せません。
つまり、対応が遅れるほど選択肢が減ります。
- 気づいた時点ですぐゴミ箱を確認する
- 見つかったら、その場で復元する
- 見つからない、期間が過ぎている場合は、サービスのサポートに問い合わせる
具体的な保持期間は、利用しているサービスの公式ヘルプで確認してください。 期間はサービス側の仕様変更で変わることがあるため、記憶や他サイトの情報ではなく、公式の記載を見るのが確実です。
Googleフォトの写真についてはAndroidで削除した写真を復元する、iPhoneの写真についてはiPhoneで削除した写真を復元するも参照してください。
待っている間にやってはいけないこと
同期フォルダ内で、他のファイルの整理や大量削除を続けないでください。 ゴミ箱の容量には上限がある場合があり、新しい削除が積み重なると、古いものから消えていくことがあります。
アプリの再インストールや、アカウントの再連携を安易にしないでください。 ローカルとクラウドの状態が食い違っている段階で再同期をかけると、残っていたローカルのコピーが、クラウド側の状態に合わせて消えることがあります。
まず現状を確認する。操作はそのあと。 これはストレージの復旧と同じ考え方です。
根本的な話:同期はバックアップではない
クラウドに入れているから安全、という前提が誤りです。
同期は「複数の端末で同じ状態を保つ」ための仕組みであり、「過去の状態を保存しておく」仕組みではありません。削除も、破損も、ランサムウェアによる暗号化も、そのまま同期されます。
ゴミ箱と過去バージョンは救済措置として機能しますが、保持期間という有効期限つきです。何か月も気づかなければ、救済は効きません。
本当に失いたくないデータは、同期とは別に、コピーを持ってください。 具体的な考え方はバックアップは「取っているつもり」が一番危ないにまとめています。
ランサムウェアの被害では、クラウド同期が被害を広げる経路になります(ファイルが暗号化されて開けない)。
よくある質問
# Q. ゴミ箱にも見当たりません。
保持期間を過ぎている可能性があります。 利用しているサービスのサポートに、復元の可否を問い合わせてください。法人アカウントの場合、管理者側で保持期間や復元の設定が異なることがあります。
# Q. 復旧ソフトで戻せますか?
クラウド上のファイルには使えません。 復旧ソフトはローカルのストレージを対象とするものです。ただし、同期していたPC内にキャッシュやローカルコピーが残っている場合は、そちらから見つかることがあります。
# Q. 容量不足の警告が出たので古いファイルを消しました。
まずゴミ箱を確認してください。 ゴミ箱の中身が容量を消費する仕様のサービスもあるため、「削除したのに容量が減らない」場合は、その分がまだ残っている可能性があります。
# Q. 会社のアカウントで消えました。
情報システム部門に連絡してください。 法人向けサービスでは、管理者側で復元できる範囲や保持期間が個人向けと異なります。業務データに個人情報が含まれる場合は業務データが流出したかもしれないも確認してください。