原因は2種類ある
Windowsが起動しない症状は同じでも、原因はOS側とハードウェア側に分かれます。
| 原因 | 例 | データへの影響 |
|---|---|---|
| OS・ソフト側 | システムファイルの破損、更新の失敗、ドライバの不具合 | データは無事なことが多い |
| ハードウェア側 | ドライブの故障、メモリ・電源の異常 | ドライブ故障なら影響あり |
症状だけでは切り分けられません。 そして、どちらであっても「先にデータを救う」という順番が正解です。
やってはいけない操作
Windowsの回復画面には、いくつかの選択肢が並びます。この中に、データを消す操作が混ざっています。
「このPCを初期状態に戻す」 — ファイルを保持するオプションもありますが、選択を誤ればデータは消えます。 起動不良の状態では、保持オプションが正常に機能するとも限りません。
「回復ドライブから回復する」「Windowsの再インストール」 — ドライブの内容を作り直す操作です。
「ドライブを完全にクリーンアップする」 — 名前のとおりです。
焦っているときに、画面の選択肢を上から試すのが最も危険です。 「修復」と書いてあっても、内部で何をするかは選択肢によって違います。
自動修復の繰り返しにも注意してください。 修復処理はドライブへの書き込みを伴います。物理障害があるドライブに対して繰り返すと、状態が悪化します。
先に確認すること
異音がしていないか。 カチカチ、カリカリという音がするなら、それ以上通電しないでください(HDDから異音がする、HDDのカチカチ音)。起動を試すこと自体がダメージになります。
BIOS/UEFIでドライブが見えているか。 起動時に設定画面へ入り、ストレージが認識されているかを確認します。認識されていなければ、OSの問題ではなくドライブ側の可能性が高いと判断できます。
いつから、何をした後に起きたか。 Windows Updateの直後、ソフトのインストール後、電源が落ちた後——原因の切り分けと、業者へ伝える情報の両方に使えます。
データを先に救う方法
最も確実なのは、ドライブを取り出して別のPCから読むことです。
1. PCの電源を切り、ドライブ(HDD/SSD)を取り出す
2. 外付けケースやドッキングステーションに接続する
3. 別のPCから中身を読み、必要なデータをコピーする
手順はPCが起動しない時、内蔵HDDだけ取り出して読み出す方法、機材の選び方は外付けケース・ドッキングステーションの選び方にまとめています。3.5インチはACアダプタが必要という点に注意してください。
この方法の利点は、問題のあるPCを起動させずに済むことです。 OSを動かさないので、書き込みも発生しません。
ただし、暗号化されていると読めません。 Windows 11では条件を満たす端末で既定で暗号化されていることがあり、回復キーがなければ中身は取り出せません(BitLockerの回復キーを求められた・紛失した)。取り出す前に、回復キーの所在を確認しておいてください。
読めない場合は、ドライブが「RAW」と表示される・「アクセスが拒否されました」と出るも参照してください。「アクセスが拒否されました」は権限の問題で、データは無事なことが多い症状です。
分解できない場合
ノートPCで分解が難しい、保証の関係で開けたくない、という場合もあります。
USBメモリから起動するタイプの環境を使ってデータを取り出す方法もありますが、操作を誤ればドライブに書き込んでしまうため、慣れていないなら勧めません。
重要なデータであれば、業者に相談してください。 その際、「修理」ではなく「データの取り出し」が目的であることを最初に伝えてください。 メーカー修理は初期化や本体交換が前提になり、データは戻らないのが一般的です。
伝えるべき情報は復旧業者に伝えるべきこと、費用感はデータ復旧の費用相場にまとめています。
データを救ってから、直す
データの退避が済めば、あとは自由に試せます。 初期化しても再インストールしても、失うものはありません。
順番を逆にしないこと。これだけです。
そして、一度起動不良を起こしたドライブを、そのまま使い続けないでください。 OSの問題だったとしても、SMARTの値に異常が出ていないか確認しておいてください(SMART情報の見方)。SSDは前兆なく壊れることがあります(SSDは前触れなく死ぬ)。
よくある質問
# Q. 「ファイルを保持する」を選べば安全ですか?
起動不良の状態では、期待どおりに動く保証がありません。 データが目的なら、先に取り出してください。
# Q. 青画面のエラーコードで原因が分かりますか?
手がかりにはなりますが、同じコードでも原因が複数あることが普通です。コードを控えておくのは有用ですが、それだけで判断しないでください。
# Q. セーフモードで起動できました。
その状態でデータを外付けにコピーしてください。 起動できるうちが最も簡単です。「動いたから大丈夫」と使い続けないでください。
# Q. Macでも同じ考え方ですか?
順番の考え方は同じです。先にデータ、あとで修復。 ただしMacはFileVaultによる暗号化やApple Siliconの構造が絡むため、事情が異なります(MacでHDDが認識されない、Macのディスクユーティリティを実行する前の判断基準)。